築50年の弊社代表の自宅をフルリノベーションしました。
住んでいるからこそ感じていた「使いづらさ」や「足りないもの」「もっとこうだったらいいのに」と思っていたことを、一つひとつ形にしていった今回のリノベーション。
今回はその中でも、日々の暮らしの中心となる「キッチンのリノベーション」について、Before〜Afterの変化や、こだわったポイントを詳しくご紹介します。
Before（リノベ前）
今のキッチンは、もともと祖母が営んでいたお店で使っていたものを持ち込んだそうで、なんと50年近く前のもの。
当時はまだ家庭用のシステムキッチンが主流ではなかった時代。
業務用のステンレス製で頑丈ではありましたが、収納は少なく、引き出しも固く、使い勝手は現代の暮らしには正直合っていませんでした。
作業スペースは狭く、調理中にまな板と鍋が場所を取り合うのは日常茶飯事。
加えて換気扇の音は大きく、油汚れもなかなか落ちない…。長年の使用で、汚れや傷も蓄積していました。
「思い出がある」と言えば聞こえはいいけれど、日々の家事をこなすには限界がきており、「そろそろキッチンも時代に合わせて変えるべきかもしれない」と感じるようになっていました。
工事の様子
①キッチンの解体
まずは、50年近く家族の食卓を支えてきた旧キッチンの取り外しからスタート。
取り外されたキッチンは別の部屋へ移動されました。
役目を終えたキッチンはどこか寂しげで、家族みんなにとって「おつかれさま」と言いたくなる存在。
実際にキッチンが取り除かれた空間を見たときは、「本当に工事が始まったんだ」と少し緊張したのを覚えています。
②キッチンのあった場所は”脱衣所”へ
今回のリノベーションでは、キッチンの場所自体を変更しました。
もともとキッチンがあったスペースは「脱衣所」として生まれ変わることに。
水まわりの動線を見直し、キッチン・洗面・浴室をよりスムーズにつなげることで、暮らし全体の快適さを向上させるのが狙いです。
解体が終わったあとは、床をめくって配管を新しく引き直し、床下地や間仕切りのための木組み作業が始まりました。
長年キッチンとして使ってきた場所に、新たな空間の骨組みが少しずつ立ち上がっていく様子は、まさに「家が生まれ変わる」瞬間。
↓の 写真は、脱衣所へと変わる空間に木が組まれていく途中の一枚。
構造が少しずつ見えてくることで、完成後のイメージがよりリアルに感じられるようになってきました。
③新しいキッチンが少しずつできてきた
木工事や配管作業が進む中で、いよいよ新しいキッチンの大まかな形が見えてきました。
キャビネットやレンジフード、シンクまわりの設備が搬入・設置され、養生シートに覆われながらも、全体のレイアウトやサイズ感が一目でわかるように。
今までとはまったく異なる配置になったことで、空間に立ったときの「広さの感じ方」や「光の入り方」も大きく変わりました。
まだクロスや床材は仕上がっていませんが、引き出しのラインやカウンターの高さなど、完成後のイメージがグッとイメージしやすくなりました。
After（リノベ後）
ついに、新しいキッチンが完成しました。
養生材が外され、白を基調とした清潔感のある空間が現れたときの感動は今でも忘れられません。
明るくすっきりとした雰囲気に生まれ変わり、以前の無骨な業務用キッチンとはまったく違った印象になりました。
今回のリノベではキッチンの配置を見直し、リビングとつながる”セミオープンキッチン”に。
キッチンに立ったままリビングの様子が見えることで、家族との会話が自然と生まれ、空間全体に一体感が生まれました。
こだわりポイント
①たっぷり収納
今回のリノベーションでは、収納力の強化を最優先ポイントのひとつにしました。
キッチンに立つのは主に祖母と母。
年齢や使い勝手を考えたときに、手の届きにくい吊り戸棚よりも、目線や腰の高さで使えるキャビネット収納を重視することにしました。
特に引き出し式のキャビネットは、奥まで中が見やすく、重たい鍋などもスムーズに出し入れできて、作業のストレスがぐっと減りました。
調理器具や調味料、ストック品を「使う頻度」に合わせて整理できるようになったことで、カウンターの上もすっきり。
作業スペースが広く使えるようになったのも大きな変化です。
「収納を人に合わせる」ことで、毎日の料理がずっと快適で楽しいものになったと思います。
②調理設備
リノベーションにあたっては、キッチン設備の機能性にもこだわりました。
まず採用したのがIHクッキングヒーター。
火を使わない安心感はもちろん、フラットな天板で掃除がとにかくラク。
調理後の拭き掃除がすぐ終わるようになり、母や祖母も喜んでいます。
さらに、静音タイプのレンジフードを導入したことで、調理中の会話やテレビの音を妨げることがなくなり、リビングとの一体感がより自然になりましした。
見た目のデザインだけでなく、こうした設備の選定によって、料理や片付けのしやすさが格段に向上しました。
③セミオープン構造
キッチンのレイアウトを決めるとき、最初に意見が分かれたのが「どれくらい開放的にするか」という点でした。
母はもっとオープンで開放的なキッチンにしたい派。
リビングとのつながりや、料理中も自然に会話できることを大切にしたいという希望がありました。
一方で、猫にとっては完全なオープンキッチンは危険な面も多いのが現実です。
人の食べ物をうっかり口にしてしまったり、包丁や危険なものに触ってしまったり。
そこで、開放感と安心感のちょうど中間をとった「セミオープン構造」を選ぶことに。
腰壁と開口部を設けたことで、キッチンにいながら猫の様子を見守ることができ、同時に調理中の危険からも守ることができるようになりました。
また、リビングにいる家族とも自然に会話ができるので、母の希望も叶えることができました。
「開きすぎず、閉じすぎず」
家族みんなが安心して過ごせる空間づくりの結果、セミオープンという選択が我が家にはぴったりだったと思います。
さいごに
築50年の自宅をリノベーションする中で、キッチンはまさに「暮らしの中心」となる場所でした。
収納のしやすさ、使いやすい設備、家族や猫とのつながり。
何かを我慢するのではなく、それぞれの希望や安心を少しずつ取り入れながら、ちょうどいい形を探していった今回のリノベ。
完成した今、祖母と母は日々の料理をより快適に楽しめるようになり、私たち家族にとってもキッチンがより温かい場所になりました。
「なんとなく不便だけど、我慢して使い続けている」という方にこそ、自分たちの暮らしにぴったりなキッチンを考えるきっかけになれば嬉しいです。
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